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2024年1月9日 : 食後30分は水分とるな
 新年早々、能登では大地震にみまわれ、羽田では日航機と海保機の衝突事故。二日続けて大きなニュースが飛び込んできた。
 能登には20年来のマクロビオティックの友人がいて、昨日まで連絡が取れずに心休まらなかったが、やっと連絡がついて、家族みな無事だとわかった。ただ、家は全壊状態になってしまい、今は避難所で家族みなで肩を寄せ合っているという。
 他の友人からの情報では、世界各地でも新年早々にテロ事件が頻発しているともいう。一年の計は元旦にあり、といわれるが、令和6年(2024年)はなんと大変な年になるのではないかと多くの人がそう思わずにいられないのではないか。
 しかし、歴史を振り返ってみると、人類は幾多の厳しい状況を乗り越えてきた。先の大戦では、日本が戦闘地になり、多くの人達が犠牲になった。日本を含めて世界では、10年に一度の頻度で戦争があり、大きな自然災害はそれ以上の頻度である。それでも私たちの先祖は、危機的状況をくぐり抜け、たくましく生きてきた。記憶に新しい東日本大震災からも、私たちは立ち直り、力強く生きてきた。
 私は断食指導と食養指導がライフワークになっているけれど、人間は危機的状況に遭遇すると生命力が高まる生きものであることに疑いの余地がない。先の大戦で日本は完膚なきまでに叩きのめされても、這い上がり、人口は増えて経済は発展した。
 今年の干支は辰である。辰は登り龍である。登には屈まなければ大きく登ることはできない。能登で被災された皆さんも、今は屈む時期と考えて耐え忍んでほしい。きっと能登という地名のごとく、登り龍が復活するに違いない。
 WHOが沼田法として認めている「食後30分は水分を摂取しない」というだけで感染症は大幅に防ぐことができる。これは食養の大先輩、沼田勇先生が後世に伝えたことである。唾液は津液といって、体の隅々を潤す神秘の液体である。殺菌効果、ホルモン活性、免疫力向上、精神安定、様々な効能があるのも唾液である。その唾液は食事の時に「よく噛む」ことで 沢山出てくる。被災地ではなおさら、「よく噛む」ことが大事である。そして、よく噛み唾液を沢山出して、その唾液を薄めないために食後30分は水分を摂らない。これだけで大幅に感染症リスクが減る。先の大戦で陸軍の軍医であった沼田先生が、食養の食法を軍人に指導したところ、沼田先生が指導した軍は他の軍に比べて感染症に罹る率が大幅に少なかったという。
 他にも唾液を出すために、「よくしゃべる」「口周りをマッサージする」「よく動いて筋肉を活性化する」ことも大事である。足腰や手足の筋肉も、口周りの筋肉と連動し、繋がっている。
 ともあれ、私たちは危機感によって生命力が高まる。能登地震でも羽田の事故でも、危機に遭遇した人たちはものすごく生命力が高まっているはずである。ニュースを見聞きする私たちは恐怖に慄く必要はない。被災された人たちと共に「災い転じて福となす」行動をしたらいい。

 被災した友人に何か支援が出来ないかといろいろと情報収集しているのだけど、個別的に物資を届けることは難しいようです。東日本大震災の時には、「ポンセンキャラバン」と銘打って、多くの方々の募金を元に、東北に玄米ポンセンや玄米せんべいを何十トンと送ることができた。熊本地震の時には、自然食のレトルト食品を送らせてもらった。今回も能登版のポンセンキャラバンをしたいと考えています。その際は皆さんからのご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。
2023年12月13日 : 冬の断食・寒い季節の体質改善
 和道のある群馬(富岡市)は、冬であっても雪はめったに降ることはないが、真冬はそれなりに寒くなる。わが家の子どもたちは冬になると、庭にある水道のところでバケツに水を張って、毎朝できる氷の厚さを測るのが日課になっている。12月の中旬くらいから氷ができることが多いから、大体そのあたりから真冬ということになるのだろう。(今年は暖冬気味で霜は降りたが、氷はまだ張らない)
 冬は太陽という陽性の影響が少ないので、寒さは温かさに比べ陰性だ。陰陽は巡り巡ることが本質だから、陰性は陽性をひきつけ、陽性は陰性をひきつける。二十四節気では、立冬から本格的な陰性な季節が始まる。そして、冬至ごろから陰性がより強くなり、大寒で陰が極まる。
 大寒を過ぎると陽が芽吹きだし、節分、立春と続いて陽が少しずつ大きくなっていく。「陰極まって陽」というのが大寒の時季でもある。これも陰陽の巡り巡る本質を言いあらわす。とはいえ、絶対的な陰も陽もないのが宇宙の理であるから、立冬や冬至の陰の中に陽があり、陰の極みである大寒の中にさえ陽がある。
 では、この陰の大きい寒さで凍てつく季節に陽をどこで見つけることができるだろうか。
 寒さに凍えて震える心身は、ひたすら温かさ・温もりを求める。それこそが陽であり、生命でないかと思う。寒さ増すこの時季に冬の菜っ葉は甘みを増す。これもまた陰極まって陽を体現しているのではないか。冬の菜っ葉は春夏の菜っ葉に比べてずっと根が太い。太陽の力が弱いからこそ、大地の力をより吸収しようとして根をグングン張る。寒さという陰によって陽を増しているともいえる。冬は殖ゆ(ふゆ)とも昔からいわれるようだが、これも陰の中に陽が隠されているような気がする。
 古くから寒の時季の修行として冷たい海や川に入って身を清める水行が行われていた。冷たい水による禊の行である。これもまた陰極まって陽を体現した心身の健康増進行事と言っていい。植物が寒さによって根の張りを増すのと同じように、私たちの精根は寒さによって鍛えられる。大寒の時期は精・生命力の根を張る時であったのだ。
 何度も言うように、大寒は陰性が極まる時である。環境が陰性であれば、私たちは陽性を強くして生きていく。寒い冬に体を冷す陰性なものをたくさん摂れば命の危険性すらある。陰性な時季には体を温める陽性なものがおいしい。秋が深まり冬を迎える頃から陽性の食物の摂取が増えていく。陽性の代表である塩気も増えていく。おせち料理はその最たるものである。塩気と油気を充分使い、さらに時間をかけて煮込んだものが多い。手間をかけて作ったお餅など陽性な食品が冬に合う。寒い陰性な時季には特に、陽性な食品が大事なのだ。
 陰性な寒い冬には、私たちの体は陽性になって対応しようとする。そのために陽性な食物がおいしく感じるのだ。では、そんな季節に断食をしたらどうなるのだろうか。
 寒い陰性な冬に断食をすると、私たちの体は、体の中に眠っている陽性な細胞をエネルギーに変えて環境と調和しようとする。過去に摂ったり、ご先祖から受け継いだ、陽性な食物から作られた細胞をエネルギーに変えるのだ。
 肉、卵、乳製品、魚介類を沢山食べてきた人は、陽性な細胞を過剰に抱えているので、冬に断食をすると、それらの細胞を排毒しようとする。昔から、寒の時季の行を大切にしてきたのは、陽性な毒素を抜くのは至難の業であることを知っていたのかもしれない。現に、冬の方が代謝が上がるわけだから、デトックスに持って来いなのが冬である。
 冬は体質改善の季節である。冬にしっかり排毒をすることが、後の季節、春や夏を乗り越える肝腎なことである。
2023年12月1日 : 平和運動としてのマクロビオティック
 10年以上前、輸入汚染米が問題になったことがあった。酒、菓子、給食、コンビニのおにぎりなどへの輸入汚染米の混入が明るみになったのだ。
 日本は減反政策(コメの栽培禁止)をしながら、なぜ外国産米を輸入するようになったのか。1990年、アメリカはイラクとの戦争直前、イラクへの経済制裁でイラクへの米の輸出を禁止したのだ。イラクはアメリカ米の一番の輸入国であった。アメリカの米農家は、行き場をなくした米の在庫を大量にかかえてしまったのだ。アメリカ政府は日本政府に農業の面でも圧力をかけるようになる。そのひとつが減反政策であったのだ。日本は減反を増やして米の在庫を少なくし、並みの不作でも米不足になり輸入しなければならないように恣意的に操作していたのだ。そして、1993年(平成5年)日本は大冷害となり、米の大不作となる。40代以上の日本人は記憶にある人も少なくないと思うが、タイ米が輸入されるというニュースが世間を騒がせた。しかし、本当の狙いはタイ米の輸入ではなく、アメリカから米を輸入する名目が立ち、77万トンものアメリカ米が輸入されたのだ。それもアメリカで何年も眠っていた在庫米(古米)が輸入されたのだ。
 その後、毎年需要もないのに77万トンから100万トンに拡大して米を輸入している。WTO(世界貿易機構)で約束させられた日本の米輸入量は「日本の米生産の10%にあたる量」を海外から輸入してほしいといういわば口約束で、義務ではないのだが。日本は日本の米だけでも充分まかなえ、さらに今では余るほどなのに、毎年100万トンものアメリカ米などの海外米が輸入されている。1990年からすでに30年以上経った今は1000万トン以上もの古米を在庫しているのだ。それも、保存の効く籾米ではなく、数年もすると劣化してカビが生えてしまう玄米で保存している。もちろん農薬漬け、保存薬漬けの玄米だから、カビが出だしたら止まらない。
 この日本の農業政策は一体何なのかというと、自動車などの工業製品を海外に売るための交換条件として、義務ではなく、いわば商慣習として米を輸入している。命である食を売り物にした本末転倒政策なのだ。
 5月(2023年)に広島で行われたG7首脳会議でも、表面上のことしかニュースに上がっていなかったが、裏では大変なことが話し合われていたようだ。世界はすでに第三次世界大戦に突入していると、エマニュエル・トッドという歴史家が言っている。G7諸国対中露諸国という対立。
 日本はG7のひとつだから、G7寄りの情報しか見聞きすることは稀だが、実際の世界情勢は中露に傾きつつあるといわれる。グローバルサウスといわれるインド、ブラジルなどの国々は、アメリカ主導の世界秩序に辟易しているのだ。先に挙げたアメリカの日本への汚染米の輸入にあるようなことが、世界の国々に対しても行われているのだ。
 ロシアとウクライナの戦争も、戦争をしたいアメリカの思惑通りのことが起こっている。軍需産業は世界で一番大きな産業といわれるが、その大半がアメリカにあり、アメリカの軍需産業は定期的に戦争が起こらないと経済が回らないのだ。厳密にいえば、戦争を起こさないと、と言った方がいいだろう。
 アメリカの中でも、意識ある人たちが立ち上がって、アメリカを正常なアメリカに戻そうという人たちもかなり多くいる。その代表がトランプ前大統領。トランプが大統領時代は、アメリカは戦争をしていなく、加担もしていないのだ。それが、軍需産業の後ろ盾をもつバイデンが大統領になってからは、表立っての戦争はないが、ウクライナに軍事支援をして後方から戦争を煽っているのだ。戦争中毒の人々が牛耳るアメリカなどと、アメリカ国内でも皮肉る人々がいる。
 戦争をしないと回らない経済というのは、もうすでにそれだけで破綻しているといっていい。心が病んでいるのだ。20世紀初頭、ヨーロッパに渡った桜沢如一は、軍需産業のための戦争(第一次世界大戦)を目の当たりにする。人が死ぬことで経済を回す発想そのものを病んでいると感じた桜沢如一は、ヨーロッパでこそ食養を広めなければならないと決意する。食を調えることによって体が調うだけでなく、心が穏やかに調う。マクロビオティックを平和運動としたのは、桜沢の切なる願いが込められている。
 ロシアとウクライナの戦争が終わる前に、パレスチナとイスラエルの戦争が始まってしまった。現代の世界情勢は平和とは程遠い、むしろ逆行しているのではないかとさえ思える状況にある。
 しかし、世界ではヴィーガンやベジタリアンの人々がものすごい勢いで増えてきている。菜食を基本とする人々がある一定以上になった時、世界から紛争が減っていくはずなのだ。人は体も心も食次第である。お互いをゆるし合える心が湧きおこってくるのも食次第である。
2023年10月31日 : 緊箍児(きんこじ)
 潰瘍性大腸炎の治療に来た青年が「いつになったらラーメンやカレーやカツどんを食べることができますかね」と私によく聞いてきた。彼はラーメンやカレーやカツどんが大好物であったのだが、潰瘍性大腸炎になってそれらを食べると腸の調子が悪くなることを知った。それを知れただけでも意味のあることなのだが、それらの味にまだ未練があったのだ。
 西遊記に出てくる孫悟空の頭にはめられていた輪っかのことを、緊箍児(きんこじ)という。孫悟空が悪さをすると、師匠の三蔵法師が呪文を唱えて孫悟空の頭にはまっている緊箍児を締め付けるのだ。孫悟空はたまらず、反省せざるを得ない。ウソをついたり悪さをすると頭が締め付けられるわけだから孫悟空はたまったものではない。
 しかし、よくよく考えると、誰にでも孫悟空の緊箍児のようなものがあるのではないかと思う。潰瘍性大腸炎の彼も、潰瘍性大腸炎が孫悟空のもつ緊箍児のようなものであった。ラーメンやカレーやカツどんが悪いというのではないのだが、彼にとってはラーメンやカレーやカツどんは腸に負担のかかるものであったから、緊箍児がそれを教えてくれた。
 孫悟空の頭にはめられた緊箍児は、私たちにとってのそれはひとつには病気であるのかもしれない。病気は生き方・食べ方の間違いを教えてくれるものである。その病気をクスリや手術などで取り去ってしまって本当にいいのであろうか。痛い、痒い、怠いなどの症状を早く消したいと思うのは人の常である。しかし、痛い、痒い、怠いなどの症状の原因を取り除かなければ、根本的な治療にならない。
 私は潰瘍性大腸炎の青年に、「ラーメンやカレーやカツどんは、それらを食べたくなくなったら、食べても大丈夫だよ」と言った。脂肪と添加物たっぷりのラーメンやカレーやカツどんで造られた細胞をたくさん持っているうちは、そのような食べ物を欲してしまう。「類は友を呼ぶ」というが、私たちの食の欲求もそのようなところが多分にある。中毒的欲求というのがそれに当たる。
 自分の緊箍児=病を知るというのは意味のあることである。自分の体と心の特性を知れば、生きやすくなる。ところが、私たちは自分の顔を、鏡を通してでしか見ることができない。自分の実際の顔は、自分では見ることができない。自分の顔は、実のところ他者にしか見ることができないのだ。
 自分の本当のところは、他者を通して知ることが多いということではないかと思う。自分というものは他者を通してでしか知ることができないものもある。孫悟空も三蔵法師を通してでしか気づくことができなかったことも多い。人は関係性の中で生きている。
 自由ということは、勝手気ままに生きることではないと思う。自由とは、自分を知り、自分の生きたい生き方を、歩むことにあると思う。行きたい場所に行けるのが自由であり、生きたい生き方を生きるのが自由である。自由は簡単なことではないけれど、辿り着いてしまえば、あっという間のことでもある。
 自分の緊箍児を知れば、緊箍児そのものも決して怖いものではないことも知る。覚悟があれば、緊箍児も嫌な働きはせず、私たちに多くのことを教えてくれるのではないかと思う。
2023年10月12日 : ミラーニューロン
 1984年ロスアンゼルス五輪、体操個人総合金メダルに輝いた具志堅幸司氏の逸話から。
 具志堅幸司氏は、床(ゆか)の練習中にアキレス腱を断裂して、病院へ入院してしまった。入院前、具志堅氏は平行棒で下から上に回転する際、腕が真っ直ぐに伸ばすことができなく悩んでいた。しかし退院後、平行棒の練習をまったくしていないのに腕がまっすぐ伸びるようになったという。具志堅氏の体の中で一体何が起こったのか。
 入院中、具志堅氏はひたすら平行棒で腕がまっすぐに伸びるとイメージしていたという。下から上へあがってきたとき、スムーズに腕がスーッと伸びるイメージをベッドの上で何度も何度も繰り返し想像していた。
 脳には様々な物質があるといわれる。そのひとつがミラーニューロン(鏡のような神経細胞)。サルまねならぬ、ヒトまね。まねること、強くイメージすることによって実際に体が反応するという。ミラーニューロンは主に視覚から脳に働き、脳を活発化させるという。さらに、何度も繰り返し想像することによって、その実現性がより強くなる。「こうなりたい、こうなるんだ」「できるようになりたい、できるようになるんだ」「できるんだ、できた!」と持続的に想い続けることが大切だという。まさに心身一如。心と体が一体であるということをミラーニューロンを通して知ることができる。
 このことは病気に対する心の持ち方へも大変に参考になる。
 「病気は悪ではない、体の浄化反応としてあらわれているのが病である」という真理を持続的に想い続けること。これは大変な作用を体にもたらす。ミラーニューロンを橋渡しとして体の中の様々な遺伝子が働きだすのではないかと思う。
 私自身、二十年以上前、大阪から東京へ向かう新幹線の中で突如強い頭痛に襲われた。何も飲食するものを持っていなかったので「まいったな」と思っていた。痛みはどんどん強くなり気持ちも悪くなってきた。あまりに強い頭痛に耐えきれなくなり、今まで飲んだことのある手当ての品を次々に想像してみた。大根湯、しいたけスープ、梅生番茶・・・というような感じで。そして「これだ」と感じたものを強く強く想像してみた。ちなみにそれはシイタケスープだったのだが、新幹線に乗っているあいだ中ズーっとシイタケスープを強く強く想い続けていた。
 30分以上、シイタケスープを強く想って、飲んでおいしいイメージを頭の中で繰り返ししていた。そうしたらビックリ、頭痛はすっかりよくなって何だか気分がすっきり、とても爽快になってしまった。強く強く想い続けたことにより、シイタケスープを飲んで反応する遺伝子が、飲まずとも反応したのかもしれない。これも心身一如。そして何より大事なことは、心と身(からだ)をつなぐ真の生活ではないかと思う。