半断食の体験と効用

 先日、和道の食養合宿(半断食)に参加いただいた方の感想です。とても意義深い感想なので全文を載せさせていただき、解説したいとおもいます。
・・・・・・・・・・参加者からの感想・・・・・・・・・・・・・・
 約一年前に半断食に参加して以来、2回目の参加です。
 昨年の半断食をきっかけに、これまで仕事中に毎日チョコレートやスナック菓子を食べていたのを、ほとんどやめることができました。我慢しているということではなく、無くても大丈夫、それほど食べたいと思わなくなりました。
 他に、お酒を週6日間飲んでいたのが、週2回に減り、さらに1回あたりの量も減りました。
 普段の食事も、肉や魚はゼロではありませんが、野菜中心になりました。体重が約5キロ減って、それをキープし続けています。一時的に体重が増えることもありますが、簡単に戻るようになってきました。
 自分の食事に対する考え方が変わってきました。そして、その延長線上に体質が変わってきたことを実感しています。
夜、寝る前に瞑想も行うようになって、睡眠の質が良くなりました。深い睡眠ができていると感じています。精神的にイライラすることが減ったり、イライラしても切り替えが早くなるなど、合宿をキッカケにいろいろ変わることが出てきました。
 今回は、前回の半断食と比べて、3日目に頭痛、だるさ等の排毒反応が出ました。
教えてもらったことを改めて生活に取り入れることで、どんな変化が出るか楽しみです。(東京都在住40代男性)
・・・・・・・・・・・ 解 説 ・・・・・・・・・・・・
 断食や半断食を経験するとまずは口腔内をはじめ腸を中心とする消化管が変化します。私たちの嗜好は腸内環境に大きく左右されています。断食や半断食は腸を入れ替えるのにものすごいハタラキをしているのです。特に、和道での半断食は玄米がゆを徹底してよく噛みます。噛むことで唾液がよく出るようになります。唾液は細胞を修復する力を持っていますから、唾液の力との相乗効果で、腸内環境を改善させるのです。
 舌にある味を感じる器官・味蕾(みらい)も玄米がゆをよく噛むことで活性化します。味覚が敏感になりますから、チョコレートやスナック菓子などの濃厚な味は強すぎて、体に合わないものだという正常な感性が働くようになるのです。
 腸には神経細胞が脳に次いで多いと云われます。神経細胞は記憶する細胞です。悪循環の食と生活スタイルを良循環へ方向転換するチカラが断食や半断食にはあるのです。よく噛むことはそのものが瞑想になります。瞑想の習慣がついたこともこの方がよりよい方向に歩み出しているのかが伺えます。
 断食や半断食は定期的に行うことで、毒素を出しやすい(溜め込みにくい)身体になっていきます。最初の半断食では体感しなかった排毒反応が二回目の半断食で感じることができるようになったのも、毒素を排泄しやすい身体になってきている証です。

半断食の効用
 和道で行っている半断食は玄米がゆを徹底して噛むことからはじまります。最初の一口は200回、二口目からは100回ずつ噛んでいきます。お粥は、それほど噛まずに食べられるものですが、そのお粥を、あえてシッカリと噛むことが重要なのです。普通に炊いた玄米ご飯をよく噛むよりもお粥をよく噛んだ方が唾液がたくさん出てきます。お粥の水分が「呼び水」となって唾液を湧出させるのです。
 唾液の量は健康の指標になります。活動、活躍、活き活き、に使われる「活」はサンズイに舌と書きます。口の中が潤っている状態が「活」です。
 唾液は外分泌といわれ、内分泌(ホルモン)と相関関係にあります。唾液もホルモンも血液から分化したものであるのです。お粥を噛んで唾液量が増えてくると、おのずからホルモンも充実してきます。
 噛むは神業と食養では云われます。噛むことは唾液量を増やし、腸をキレイにして血液を浄化します。
 半断食で玄米がゆを徹底して噛むと唾液量が飛躍的に増えます。唾液量が増えるのと並行して、胃腸のハタラキも高まります。小腸の代謝は24時間と云われます。丸一日で小腸の上皮細胞は生まれ変わるのです。ちなみに皮膚は約1か月(最新では42日という説もあります)と云われますから、極言すれば小腸内には皮膚から出るアカの約28倍(~42倍)出ていると考えられます。だからこそ、小腸の活動は活発的で、古くなった便をためずに排泄していきます。
 唾液は血液の分化したものですから、弱アルカリ性です。私たちの腸内も弱アルカリ性でバランスをとっています。唾液をたくさん出すことは、恒常性(ホメオスタシス)を高めます。ですから、体に溜った毒素(動物性食品や添加物と一緒に取り込まれた石油化学物質)を排泄する力を唾液が促してくれるのです。
 20年近く食養指導をしていると、ときどき、「先生、私の病気を治してください」という人が来られます。実際に言葉に出さなくても、そう考えたり思っている人も少なくありません。先日もフェイスブックのメッセージに「先生は私の病気を治してくれる人です」と書き込みがありました。
 その方へも返信しましたが、「病気を治すのは自然治癒力です。自分の持つ自然と繋がった力が病気を治すのです。私はその導きのお手伝いをするだけなのです」
 依存心や依頼心というものは自然治癒力の発動を邪魔させます。「治してもらう」という姿勢でなく、自ら治す姿勢こそが自然治癒力を高めます。その根本に「噛む」ことがあります。咀嚼は人に代わってやってあげることはできません。
 和道では半断食以外にも体質と体調にあった合宿やイベントを行っていますが、玄米がゆを徹底して噛む半断食が体質改善、心身の改善の要になるものだと改めて感じる今日この頃です。