新型コロナウイルスが蔓延するといわれる社会からは多くの気づきが与えられます。
戦後の社会は自由主義経済のもと、多くの国々で食糧が増産され飽食となり、工業製品も大量生産されて物質的に豊かになりました。車や電車、飛行機などの移動技術が向上し、石油などのエネルギーの効率化によって、人間は地球上のどこにでも簡単に行くことができるようになりました。おカネさえあれば人間はどこへでも行け、何不自由なくできるような、そんな錯覚を持てる社会を作り出してきました。自由主義経済は開放系社会を構築する上では、とても便利な社会システムであったのです。
ところが、今回の新型コロナウイルスのような病原ウイルスがひとたび蔓延すれば、開放系社会だけあって、世界中が病原ウイルスに戦々恐々とさせられる社会でもあったのです。マクロビオティックを提唱した桜沢如一は、無双原理のひとつに「オモテ大なれば、ウラまた大なり」といっていますが、まさに今の社会も大きな自由というオモテのウラには大きな不自由というものがあったのです。いや、それだけではありません。現在の社会では、新型コロナウイルスで亡くなるよりもずっと多くの人々がガンなどの生活習慣病で亡くなっているのです。多死社会といわれて久しくなりますが、多くの人々が食と生活の間違いからくる病気で亡くなっているのです。
感染症もその実態をつぶさに見ていけば生活習慣病といっても大きな間違いはありません。キレイな血液では病原ウイルスは繁殖することはないのです。むしろ、病原ウイルスは血液の汚れを浄化しようとしていると東洋医学では考えています。発熱するのは体の中で燃やさなくてはならない毒素があるのです。痰が絡むのは、体の中で白血球が病原菌や病原ウイルスを浄化し、その残りかすが痰として排泄されているのです。咳も同じように白血球の血液浄化活動の副産物が肺から熱を放散させているのです。
食養ではこれらの症状を抑え込むのではなく、体の浄化反応に寄り添って、排毒を促し、新しい血液を造る手助けをしてあげるのです。例えば、発熱があれば、体の中で燃やさなくてはならない毒素があるわけですから、飲み物や食べ物でそれらの毒素の分解を手伝ってあげるのです。食養手当て法の発熱の排毒を促す一般的なものとして、シイタケスープや大根湯があります。干しシイタケの煮出した汁は体の中の不要な脂肪分を分解するのにとても役立つのです。大根もたんぱく質を分解する力が非常に強く、その力を最大限引き出す方法として大根湯があります。大根湯は大根おろしを主に、生姜おろしを少々加え、好みでしょうゆ味をつけて、熱々の三年番茶を注いだものです。三年番茶の代わりに椎茸スープを注いでもいいでしょう。
痰の切れが悪い時は、玉ねぎや長ねぎ、ニンニク、ニラなどのネギ科の野菜を多用したらいいでしょう。ネギ類は五葷ですから、避けたい人は、生姜や胡椒、山椒なども痰の毒素のもとになっているものを解毒分解してくれます。
咳においては、肺炎のような強い炎症が肺にある時は、胸からまたは背中から里芋パスターを貼るといいでしょう。里芋パスターを貼る前にキャベツや小松菜などの葉っぱを胸や背中に当ててみて気持ち良いようならば里芋パスターを貼ってみてください。キャベツや小松菜などが気持ちよくない場合は、お腹を湯たんぽで温めるだけでも咳が楽になる場合もあります。
食に気を付けることは一見すると小さな(ミクロ)なことですが、食こそ命であると気づくと、食こそ大きな(マクロ)ことであると思い至ります。
食に気をまわすことは一見すると不自由なことのようですが、食こそ命であると気づくと、食に気をまわさなければ自由はないと思い至ります。
そんな気づきを与えてくれたのも新型コロナウイルスです。