鍛錬の年

 あけましておめでとうございます。
 昨年からのコロナ騒動はまだ先が見えず、コロナによる自粛生活が今後数年続くのではないかという意識が私達の中にすでに定着しつつあるのではないでしょうか。マスク着用が日常になり、毎日、目や耳に飛び込んでくるコロナ情報で私達の脳は非日常が日常になった現実を淡々と受け止めています。新型コロナウイルスという、本当にわけのわからないものによって、私達の生活は大きく揺さぶられています。密集地でのマスク着用は半ば義務になっていますが、これから出てくるコロナワクチンも、条件付きとはいえ義務的になっていくだろうということは想像に難しくありません。
 私は二十歳で食養生活をはじめて以来二十四年間、ワクチンはもとより一切の医療行為を受けていません。医療費の負担を日本国にかけたことがないのです。
 七年前までは医療制度そのもの、日本の医療に対する考え方そのものに反対する意味も込めて、医療保険に加入していませんでした。しかし、子どもたちが成長するにつれて、子どもたちの社会活動を円滑に進めていくには、制度の中に入らないと難しい面が多々出てきました。和道の活動も宿泊を伴ったものですから、保健所の許可を得ています。社会の中ではどこかで折り合いを付けて行かないと事が進まない現実に直面したのです。
 これらの事情で七年前からは医療保険に加入し、毎年それなりの負担をしています。とはいえ、わが家では食養生のお陰で大きな病気をしませんから、医療費にお世話になることがないのです。四年前に九十一才で亡くなった祖母も亡くなる直前まで十年以上も病院とは無縁でしたから、毎年敬老の日になると自治体から医療費抑制に貢献したとして表彰されていました。
 不思議なことに健康保険税を負担するようになってからは、医療関係者との交流が盛んになって、医学博士の先生たちともコラボ講演などをさせていただく機会が増えたのです。わが家の健康保険税は、ある意味においては交際費としての面が多分にあります。昔から無駄なお金はないといいますが、本当にそうだと実感します。
 コロナで重症化している人の大半が基礎疾患がある人です。ワクチン購入に使う費用の何十分の一でも、マクロビオティックな食養生を普及する費用に当てたら、国民の健康度は上がって、コロナだけでなく感染症そのものへの抵抗力が増すと思うのです。
 マクロビオティックに出会うというのは、多くの人が何らかの肉体的精神的不調があることが多いですから、食養生を始めて間もない頃は、健康への道はなかなか遠いと感じるかもしれません。しかし、数年もそれなりに実践していくと、もの凄く元気になっていきます。何年も実践していても一向に心身の調子が上向かないというのは、どこかに間違いがあるかもしれないので、そういう方は早くに食養生の指導を受けた方がいいでしょう。
 コロナワクチンの接種は全国民への義務化にはならないと思いますが、半ば義務的な風潮になっていくのではないかと思います。そんな中で自分の生き方を貫いてくのは簡単なことではありません。体調が安定しなければ、心も不安になりますから、社会の流れに乗った方が楽に思えてくるかもしれません。
 しかし、私達は視野を大きく持てば、ウイルスは宿主である私達を死に至らしめることはないのです。新型コロナウイルスであっても、宿主である私達には長く生きていてほしいのです。ウイルスは宿主抜きには生きていけないのです。早急にワクチンで強制的に免疫力をつけなくても、自然にしていればいずれ免疫力を獲得するのです。インフルエンザウイルスに関しては、ワクチンで免疫力をつけるよりも、自然についた免疫力の方がずっと強くて長持ちするという疫学的データがあります。
 今年は新型コロナワクチンが日本でも出てくることでしょう。国により国民の意識に温度差がありますから世界では一様ではありませんが、新型コロナワクチンへの警戒度は世界的にひじょうに強いと感じます。私もこれまでと変わらず、医療費のお世話になることなしに生きていく覚悟です。
 昨年はミネルヴァ書房から『自然治癒力を高めるマクロビオティック基礎編』を出版しました。今年は引き続き『実践編』が間もなく出版予定です。実践編には新型コロナウイルスに代表される感染症のことを一章丸々載せています。ガンについても一章丸ごと書いています。実践編のタイトルは『運命を開く断食』。断食によるガンへのアプローチ、断食と感染症の意外な関係にも触れています。
 今年はコロナ、ワクチン、経済の低迷が三重にありますが、辛抱忍耐、鍛錬の年と思って過ごすのが賢明ではないかと思います。心身の鍛錬は始める前は辛いと感じますが、始めてしまえばオモシロク、心身が活性化しているのを感じると喜びに転化するものです。本年もどうぞよろしくお願い致します。 令和3年1月5日 磯貝昌寛