先日まで半断食合宿を和道で行っていた。今回の合宿に参加した方のひとりが、「気がついたら花粉症が治っていた」という。その人は6年前に食養に出会い、ちょくちょく和道に来て体調管理をしている。日常は、東京でフツーのOLをしているので、付き合いやら誘惑やらで一般的な食事もしているのであるが、それでも「ほどほどの食養」を心がけ、年に何度か和道に来て半断食を習慣にしているお陰なのだろうか、着実に体と心が強くなってきている。6年前に出会った時は、体調不良のオンパレードで、春先になると花粉症に悩まされていた。それが、今ではこの時季になっても、鼻水も出ず、目も痒くならず、元気に過ごせている。
先のコラムで花粉症は血液の酸性化ということを書いたが、血液の弱アルカリが恒常的になれば、花粉症からも卒業できる。
もちろん、杉や檜に偏った日本の林業の見直しも大事なことである。杉や檜ばかりでなく、多種多様な落葉樹が生い茂る日本本来の里山が復活することが大切なことであると思う。そのうえで、私たちの食生活を見直し、体質改善をすることが国民病と化した花粉症からの警鐘ではないかと思う。
花粉症の人たちを見ていると、あることに気づく。ごはん(おコメ)、みそ汁、漬物、お茶(できたら三年番茶)の習慣がないか薄い人に花粉症が多い。花粉症はアレルギーのひとつであるが、アレルギーのある人は、日本においては日本の伝統的な食習慣から離れていることがひじょうに多いのだ。
身土不二、身体と環境(土)は切っても切り離せない。日本の風土に育まれた食物をベースに生きることが、日本人であれば血液を弱アルカリに保つことができる。さらに、日本の風土に合った腸内細菌が私たちの腸に棲みつく。
自然に育った野菜を塩で揉んで、重しをして数時間置いておくと発酵が始まる。塩が空気中の有用菌を取り込んで、野菜に付着する菌との相乗効果で、私たちにとって必要不可欠な腸内の善玉菌を増やしてくれる。そういう点においても塩は私たちになくてはならない貴重な食物である。
そして、日本人や東洋人の腸内細菌にとって最も大事なものがおコメである。おコメの食べる量が減ってくると、腸内の善玉菌も減ってくる。腸内細菌はおコメによって活性化してくる。糖質制限食は、ある種の断食になって、体の老廃物を排泄してくれるのであるが、長期間に及ぶ糖質制限は腸の善玉菌が減少して、腸が健全に働かなくなってしまう。動物食を多食する糖質制限はなおさら、悪玉菌を増やす動物性食品を食べ続けるわけであるから、腸内も血液も酸性に偏り、さまざまな弊害が出てくる。
花粉症にも陰陽の症状がある。鼻水が水のように出てくるのは陰性である。鼻づまりは陽性。鼻水が水のように出てくるのと鼻づまりが共存するのは、陰陽両方。目の痒みは比較的陽性のことが多い。陰性が強い場合は、梅生番茶、みそ汁を一日2~3回摂ってみたらいい。喉が渇くようならば塩気の摂り過ぎだから、量は加減する。鼻づまり、目の痒みが強い陽性の方ならば、第一大根湯、しいたけスープ、野菜スープを美味しいだけ飲んだらいい。花粉症は、腸を良くするほか、肝臓と腎臓を活性化することも大事である。腹部や腰を生姜シップで温めたら、腸と肝臓と腎臓が活性化する。生姜シップが難しければ、こんにゃくシップや湯たんぽで温めるのでもいい。そして、体を温めるのに最も大事なことは運動である。よく動く人に花粉症はない。