夏の断食

 和道では毎年、梅雨明けからお盆過ぎまでは断食合宿は休みにしている。盛夏の時季は、連日35度以上になるので、休養を兼ねて断食合宿は休んでいた。今年はお盆前の最後の断食を7/2~7に行った。梅雨明け前に35度以上が連日ということはなかなかなかったと思うのだが、今年はちょうど合宿の時に連日35度以上になる猛暑になった。猛暑の日中は動かなくても汗が出る。
 断食で大事なことは、「噛む、動く、温める」ことである。
 ごくわずかの玄米粥を徹底して噛む。徹底して噛むことで、唾液腺を刺激し、閉じていた唾液腺を開放する。唾液には細胞を修復する力があるから、断食中に唾液がよく出ると、消化する必要がないからその唾液は胃腸の粘膜の修復に活用される。
 体は、動いて温めることで活性化する。人間はどこまでいっても動物であるから、動かないとダメである。動かない人間は、体のどこかに毒素が溜まって、命を全うできないことは多くの人を観ていて確信している。断食でも、動かないと排毒がうまく進まない。
 体は動かせば温まるのであるが、現代人の多くは低体温になっているので、あえて「温める」ことをしないと代謝は活発化しない。和道では生姜シップで体を温めている。お腹を中心に体を温めている。2~3時間、徹底して生姜シップで体を温める。断食中、「噛む、動く、温める」ことで代謝がものすごく高まる。
 それが今回の合宿は連日35度以上の猛暑になり、辛い合宿になったのであるが、気温が体を温めることを後押ししてくれて、ものすごい排毒効果をもたらせてくれた。今回はガンや自己免疫疾患などの難病の参加者はいなかったので、具体的な病状改善ということではなかったのであるが、宿便の排出が多く、症状の改善が大きかった。足の痛みが無くなったり、不安神経症が消えたり、頭痛や倦怠感が消えた人もいた。
 自律神経は自然とつながる神経であるから、やはり夏には夏の暑さを体感することが何より大事なことである。もちろん、熱中症になっては「過ぎたれば及ばざるに危うし」であるから、全てにおいて「ほどほど」がある。しかし、一日中冷房の部屋から出ずに、汗ひとつかかずにいたのでは汗腺は閉じっぱなしである。皮膚の汗腺が閉じっぱなしなっていると、汗が出ず、体に熱を閉じ込めてしまう。冷房のきいた部屋から熱い地上に出ると、熱が発散し切れていないので、なんとも言えない疲労感がある。
 7月の合宿には、夏は27度以上になると冷房で部屋を涼しくしていた、という人が参加していたが、やはり汗腺が働いておらず、この暑さで熱が発散できずに熱中症気味になっていた。だからといって、冷房の部屋で安静にしているだけでは、汗腺は開かず体質改善しない。そんな時も、生姜シップで体を温めると、汗腺が開いて、熱を放出してくれる。
 暑いと冷たい飲み物がおいしいが、冷たい飲み物が過ぎると、体は逆に熱を内に溜め込み、さらに胃腸の活動を低下させ、不消化を起こして疲労感が増す。冷たい飲み物は、胃腸が冷えすぎない程度にしておきたい。暑い時に冷たい飲み物がおいしいのは、喉を通過する時に脳幹が冷されるからである。冷たい飲み物を欲した時に、シャワーで首を冷やすと、不思議とそれほど冷たい飲み物をとらなくても満足する。
 夏の断食は、閉じていた汗腺を開くのに最高の時である。断食の時は特に、冷たい飲み物はとらずに、温かいものを飲む。汗で脱塩もするので、梅干し、たくあん、醤油などでしっかり塩分補給をする。回復食では夏野菜、酢の物、香辛料など、夏の食べ物で満たしてあげる。体質改善は代謝を高めることであるが、代謝とは体を入れ替えることであるから、古いものを排出して新しいものを入れなくてはならない。断食で古いものを排出して、回復食では新しいものを入れることである。回復食で季節の自然な食物をいただくことで、私たちの体は自然に満たされて、体質は自然に改善される。