白髪を防ぐ食養生

 「若白髪は金持ちになる」と昔からよくいわれていた。私は小学校に上がって間もない頃、クラスの仲間から髪の毛に白いのがいっぱいあるとよく笑われていたから、この言葉が本当だったらいいな、と子ども心に思っていた。今のところ、この言葉はハズれているけれど、陰陽でみるとオモシロイことがわかる。

 今年(令和7年)1月30日の新聞(産経新聞)に「白髪防ぐ植物成分発見か」という見出しで興味深い記事があった。以下全文を紹介する。
 植物に含まれるポリフェノールの一種、ルテオリンに白髪を防ぐ効果があることを動物実験で確かめたと、名古屋大のチームが発表した。塗っても飲んでも効果があったとし、人間での応用が期待されるという。チームが開発した、加齢で白髪が生じるマウスの背中にルテオリンを約4カ月間塗布すると、塗らなかったマウスと比べて白髪の割合が大幅に減った。飲ませても白髪の減少が確認された。毛髪の成長を支える細胞や、毛髪の黒色を維持する細胞の機能が保たれていたことも、このマウスを使った実験で確認した。(以上、記事全文)

 ルテオリン、はじめて聞く名前だった。調べてみると、身近な食物にルテオリンは入っているという。ブロッコリー、セロリ、ピーマン、レタス、エゴマなどにルテオリンが沢山含まれているという。エゴマ以外はどれも陰性な野菜で、昔からの白髪対策の食養の食材にも通じている。白髪の食養生には昔から、山椒、海藻、黒砂糖がよく使われていた。昆布を黒砂糖と山椒で味付けして佃煮にしたりしていた。外用の手当てには生姜油(ごま油と生姜汁を混ぜたもの)のすり込み、首や頭への生姜シップ(20~30分)もよく活用した。
 白髪の原因は頭皮の血行不良からだといわれる。頭皮が硬くなって血行不良になっているのであれば、白髪も当然、陽性の症状といえる。この硬くなった頭皮をゆるめるのに、ブロッコリーやセロリ、ピーマンなどの陰性な野菜が効果的なのもうなずける。
 山椒の白髪予防の効果は少し前から科学的にもいわれるようになっていた。戦前までの日本人は、動物食はとても少なかったが、魚を多食する人たちはある一定数いた。そんな人たちにも白髪の多い人がいて、白髪予防に魚の毒消しになるものが食養に多かったのではないかと思う。ウナギには山椒だが、その理屈からも白髪に山椒といえる。さらに山椒も抗酸化力がとても高い。生姜の血行促進効果は言うまでもない。
 そして何よりも、白髪予防には体の酸化を促進させないことである。老化促進物質として有名なリン酸塩は、世に出回る「うま味調味料」と「動物性食品」に大量に含まれている。これらのリン酸塩は中毒性があって、食べ始めるとなかなか止めることができない。白髪も老化の一つであるが、老化を促進する食べ物に中毒性があるというのは何とも皮肉なことである。
 しかし、体の酸化を防ぎ、老化防止に役立つ生活習慣は、実際に行ってみると清々しくて爽快である。ホルモンを活性化させて、生きていることへの感謝や素晴らしさを味わうことができる。中毒による一時的な快感よりも、習慣による永続的な充実感の方がずっと心地よい。
 「若白髪は金持ちになる」、昔の人たちは、白髪が陽性であることを経験的・感覚的にわかっていたのかもしれない。ほどほどの陽性であれば、よく働き、頭もキレて、財も蓄える。私は幼少期に小魚の煮干しをよく食べて白髪になったのだが、その古塩を抜くことを研究し実践してきた。そのお陰で、少しは古塩が抜け出してきたのか、白髪も減ってきた。ただ、その副作用で金持ちになれなかったのかもしれない。