アトピーのある人がステロイドを使うと症状がすぐにおさまることはよくある。痛みや痒みを抑えることは西洋医学では得意である。西洋医学で使われる薬の多くが即効性のあるものが多い。頭痛、腹痛、不眠、痒みなど、即効的に症状をおさめるのが西洋薬の特徴のひとつである。
一方で東洋医学の薬は、即効性よりもジワジワと効いてくる遅効性を特徴としている。一般的に、即効性のある西洋薬(化学薬品)は副作用が強く、遅効性を特徴とする漢方薬(生薬など)の副作用は弱いといわれる。化学薬品は症状を抑えるのに対して、漢方薬はじっくりと体質を改善する方向に導く(方向性が間違っていなければ)。
では、マクロビオティックの治療的側面において、症状に対してどのような対処法があるのか。
発熱や頭痛には第一大根湯やシイタケスープ、腹痛には梅生番茶やくず湯、そして生姜シップ、これらは食養の手当て法ではオーソドックスである。この効果は、驚くほど速い。頭が割れるように痛かった人が、シイタケスープをガブガブ飲んだら、すぐに痛みが消えたということも珍しくない。強烈な腹痛でも、お腹に生姜シップを2時間位じっくり行ったら痛みがウソのように無くなったということもよくある。食養の手当ては、症状の根本原因にアプローチする。そして、その根本原因が少しでも減れば、症状は改善する。
そして、その根本原因を造る私たちの体を徹底的に改善すれば、本当に治療に導くことができる。私たちの体質を造るもので、私たちが改善できるものは、まずは食である。私たちの細胞は食べものからできている。食べものが変われば細胞も変わり、体も変わる。しかし、数日や数か月で変わるものではないから、数年かかり、体質改善においては決して即効性があるとはいえない。ただ、着実に食が変わると体が変わる。
マクロビオティックにおける根本的かつ即効的治療法に断食がある。一時的に食を断つことで私たちの体は劇的に変わる。
桜沢如一はヨーロッパで断食(七号食)の実際の効果を報告している。「奇跡の10日間」という断食(七号食)の効果である。ヨーロッパ各地から集まった人たちとの断食(七号食)合宿で、たった10日間の合宿にかかわらず多くの病気が改善したという。リウマチ、心臓病、糖尿病などがたった10日間で劇的に改善したというのだ。
大森英桜も「あらゆる病気を10日で治す」と言って、難病者を10日間で改善した話しを時々語っていた。実際に私も、10日間で症状が劇的に改善した人を、大森の付き人をしている時に、直接お会いして話しを聞いたことがある。
その後、私も和道をはじめて食養合宿(断食合宿)を開催してみて、短期間(3~6日間)で症状が改善した人たちを数多くみている。脊柱管狭窄症で歩くことがままならなかった人が普通に歩けるようになったこともある。腎不全でお小水がほとんど出なくなった人が腎臓の働きが戻りお小水が出るようになった人もいる。ここ最近では、コロナワクチンの副作用で髄膜炎になった人が、痛みとこわばり、難聴がたった数日の断食と手当てで消えたこともある。本人は喜び、一緒に合宿に参加した人たちは驚きを隠せないでいた。
マクロビオティックにおける即効性は、断食と食養手当てによってもたらされていることを、私はこの十数年の活動で確信している。そこには、症状の陰陽を把握することがまずは必要である。その上で、体の陰陽に合った断食と食養手当て、そして回復食が重要である。その間、体を動かし、深い呼吸をして、食養手当て法で体を芯から温めること。それを安心した状態で取り組むことである。これらが組み合わされば、いわゆる奇跡が起こることは必然である。
病というものは私たちの体を治す働きとして出ている。その治す働きを邪魔せず、自然に沿ってあげるだけでいい。