天恵の里(自然栽培農場)

天恵の里
 父の磯貝香津夫が主催する自然栽培農場。
 自然栽培の理論とマクロビオティックの理論は共通するところが多々ある。ともに大きな自然観をベースとしている。農に重点をおく自然栽培理論と食に重点をおくマクロビオティック理論は底辺でつながっている。
 天恵の里では自然栽培で米麦、季節の野菜を20年以上作り続けている。
 和道の主催する田植えや稲刈りは天恵の里の自然栽培の田んぼで行っている。和道での食事も天恵の里の自然栽培米や野菜を中心にしている。


 四つの症状のなかで最も苦しかったのは不眠症でした。夜、寝床に就いてもなかなか眠れず、手足に強烈な倦怠感を感じ、もし出来ることならこの手足を切り取ってしまったら随分楽になれるのではないか、と思いながら眠れぬまま時が過ぎ新聞配達員が走り始めるころにようやく浅い眠りに就き、まるで判で押したように毎朝怖い夢を見ていたのです。
 市内で一番の病院で検査を受けても、異常無しと言われ、失意の日々を送っていたのです。ところが、ギックリ腰に見舞われたことで生きる希望を取り戻す契機になったのです。
 隣町に住む知人のT.Sさんが紹介してくれた日本に古来から伝わる「足心道」という治療を受けた際に「あなたは腎臓がかなり弱っていますね」という衝撃的な指摘を受けたのでした。数回治療をして頂き痛みから解放されたので、先のT.Sさんにお礼の挨拶のため訪問した際、再び強烈な衝撃波に見舞われたのでした。
 氏は「磯貝君、いいかね、君の体の不調は食べ物からきているんだ。これからは市販の味噌、醤油はやめて昔ながらの年月をかけて熟成し化学物質を使用していないものにしなさい。それから肉、魚、卵、乳製品も腎臓を痛める原因となったのだから今すぐやめるんだ。俺は今68歳になるが20歳のころ医者から30歳まで生きたら儲けものと言われるほど病弱だったけど穀物菜食で今でもこのように元気で毎日すごしているんだよ」というのです。「溺れるものワラ一本にすがる」状態の私を見抜いていたのでしょう。
 このことがやがて石田英湾先生や大森英櫻先生の教えを頂くことの出発点になり、農業に於いても慣行栽培から有機栽培へ、さらに自然栽培へと変遷する原点となったのです。
 自然栽培に於いて作物が育つ根源的なものは太陽と月、それと私たちが住んでいる地球から出ている力(エネルギー)によるものだと考えています。これらの力のことを日本では「気」という概念で捉えています。太陽と月からの気は地球上どこでも降り注いでいます。一方、地球からの気は本来どこでも出てきているはずなのですが、化学肥料や農薬の残留物が地中にあると土は冷えて固まり、そこで止まってしまいます。
 地球の気を止めているそれらのものを「肥毒」と呼んでいます。この肥毒を浄化して初めて自然栽培が可能となるのです。
 今から50年程前に化学肥料が一般に使われるようになり、その時から日本全土の土は進化を止めてしまいました。この事により日本人の進化も停滞してしまったと言ってもよいでしょう。
 一人でも多くの人がこの事に気がついて本来の道に戻ってゆけたら嬉しいですね。この様な流れが始めは細くても少しずつ広がりやがて大河になってゆくことを私は念じています。この道のりを皆様と共に、背中に過去の遺物を背負いながらも、胸に未来への希望を抱いて歩んでゆきましょう。


自然栽培の考え方
 お米や野菜、果物、毎日いただく食べ物は、どれひとつとっても、人間が人工的に作りだすことはできません。必ず自然の恩恵にあずからなければなりません。
 自然栽培による作物作りは、自然の力を最大限活かすことにあります。地球は自転・公転運動をして絶えず動いています。地球以外の星も例外なく一時たりとも止まることなく動いています。宇宙の中を絶えず動いているのが地球を含めた星々のすがたです。
 星々を動かすエネルギーは人間の想像をはるか超えたものです。地球の自転速度は毎秒500メートル、公転速度は毎秒30キロメートル。この大きな地球を動かすエネルギーは人間のちからで作り出すことはできません。
 このエネルギーに満ちた大地はさまざまな植物の源です。人間がいなければ植物が育たないなんてことは絶対にありません。植物は人間の親なのです。
 多種多様な植物を育む大地のエネルギーを阻害しないことが自然栽培のもっとも大事なことです。土本来のちからから人間が日々いただく食べ物は育つのです。人為的に肥料を施すことなく土本来の生命力がお米や野菜や果物を育みます。